コラム

羊羹(ようかん)と外郎(ういろう)の違い

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月島で和菓子カフェをやっている山の金時堂です。

本日からメニューの他にコラムとして、和菓子についての豆知識みたいなものを書いてみることにしました。

皆様は「羊羹(ようかん)」と「外郎(ういろう)」の違いについて意識したことはございますか?

一見呼び方だけが違う、同じ種類の和菓子だとも思えてしまいますよね。
外郎という言葉を知らず、このようなものは全て羊羹だと思っている方もいらっしゃるかもしれません(おいしく食べれたなら、それでもいいんです!)

…しかし驚くことに全然違う和菓子なのです。

羊羹(ようかん)

まずは外郎よりもメジャーなイメージのする羊羹について(勝手なイメージです)。

あんこを寒天で固めたもの

一般的に「羊羹」とは、あんこを「流し缶」などの型に流し込んで寒天で固めた和菓子のことを言います。厳密には「練り羊羹」と呼んで他と区別されることがあります。

起源は安土桃山時代。京都の老舗「駿河屋(当時は鶴屋)」の5代目岡本善右衛門さんが天草を用いた練り羊羹を開発し、豊臣秀吉に献上したとされています。

また固さは寒天の濃度により異なりますが、あえて寒天の濃度を低くして柔らかい食感にした羊羹を「水羊羹」と呼ぶこともあります。昔はおせち料理に使われたそうですが、夏に冷やして食べてもおいしいですよね!

寒天以外で固めることもある!

あんこを固める素材が寒天ではなく、小麦粉や葛粉(くずこ)であることもあります。この場合、固めるために蒸す必要があるので、このような製法の羊羹は「蒸し羊羹」と呼ばれます。

起源は鎌倉時代から室町時代。実は蒸し羊羹の方が練り羊羹よりも時代は長いのです。

何故、「羊羹」と記すと「練り羊羹」のことを意味することが多いのか…。

それは江戸時代に高級な練り羊羹こそ本物の羊羹であり、半値ほどの安価にできる蒸し羊羹は下物であるという認識が広がったからではないでしょうか。このとき下物として認識されていた蒸し羊羹の一部は、「丁稚羊羹(でっちようかん)」として呼称されるようになったと聞きます。

あんこを固める

「寒天で固めるか、小麦粉や葛粉などで固めるか」など細かい違いはございますが、上記はどれも羊羹であることに違いありません。共通点はあんこを固めていることです。

外郎(ういろう)

さて外郎はどのような感じでしょうか。

実は蒸し羊羹から派生したもの

「羊羹と外郎の違い」について書いていて、大変恐縮なのですが、外郎は先の寒天を使わない羊羹(蒸し羊羹)から派生したものであるといわれております。

起源は諸説ございまして、有名なところでは「江戸時代に普及した口中清涼のためのお薬『外郎薬(ういろうぐすり)』に形が似ていた…」 などがございます。

外郎の原料としてもち米やうるち米、小麦粉、ワラビ粉などの穀粉が使われる点では、蒸し羊羹とは大きな違いはございません。

砂糖を固める

外郎とは上記の穀粉に砂糖と湯水を練り合わせ、型に流して蒸籠で蒸して作られた和菓子です。

風味をつけるために小豆や抹茶、コーヒー、柚子、桜などを加えることはございますが、基本は砂糖を穀粉で固めたものなのです。

「あんこ」が入っているかどうか

これらを踏まえると「羊羹と外郎の違い」が見えてきたのではないでしょうか。

これらの違いは原材料にあります。

羊羹はあんこを固めるのに対し、外郎にはあんこが入っていないのです。

ただ先述のとおり、風味をつけるために小豆を用いている外郎もございますので、その線引きは難しいこともあるかもしれません。

美味しくいただければ、それで大丈夫だと思います。

山の金時堂では外郎よりも羊羹がメニューになることが多いです。是非、月島にてご来店お待ちしております!!

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