月島で和菓子カフェをやっている山の金時堂です!
皆様は「草餅」と「よもぎ餅(蓬餅)」の違い、わかりますか?
- 草餅はお餅に草を練りこんだ和菓子。
- よもぎ餅はお餅によもぎを練りこんだ和菓子。
…同じように見えますよね。
実は今は「草餅」も「よもぎ餅」も同じ和菓子なのです。
昔、草餅の草としてよもぎ以外を使っていたことがあったので、このような疑問を生み易い2つの呼び名ができてしまいました。
「草餅」から派生した「よもぎ餅」
過去の草餅に関するエントリー「春には草もちを食べるべし!五行から考えると?」にて、草餅の歴史について記載しました。
その記載と被るところがかなりあるのですが、今回のテーマ「『草餅』と『よもぎ餅』の違い」を考える上ではかなり重要な部分になってきますので、改めて記載させていただきます。
魔除けの草を練りこむ餅
古くから、草の香りには邪気を祓う力があるという思想があります。
香り高い草をお餅に練りこみ、それを桃の節句に頂く。この文化は中国から日本に渡り、平安時代から受け継がれてきたそうです。
桃の節句といえばひな祭りですが、ひな祭りによく登場するのが「菱餅」です!
いまでは「紅・白・緑」の三色が定番ではございますが、昔は「白・緑」の2色でした。そしてその緑は邪気を祓うための草餅だったのです。
草餅に練られていたのはよもぎではなかった!
今では草餅に練りこまれている植物は「よもぎ(蓬)」ですよね。
しかし、元々は草餅に練りこまれていた植物はよもぎではありませんでした。
皆様は「ハハコグサ(母子草)」ってご存知でしょうか?
「ゴギョウ(御形)」と言えばわかるかもしれません。春の七草の1つです。
平安時代から江戸時代まではお餅に練りこまれる草はハハコグサだったのです。このようにハハコグサで作られた草餅は「母子餅」とも呼ばれておりました。
ハハコグサは縁起が悪い?
江戸時代に入り、ひな祭りで2色の菱餅が食べられるようになってきて… ハハコグサの形勢が悪くなってしまいました。
「ハハコグサを練りこむってことは、母子を潰してるってことよね?」
という考え方が広がり、草餅にハハコグサを使うことは縁起が悪いとされるまでになってしまったのです。
そこでハハコグサの代わりに登場したのがよもぎ!「よもぎ餅」ですね!
今ではほとんどの草もちがよもぎで作られるようになりましたが、一部地域では母子草で作られることもあるようです。
「母子餅」と「よもぎ餅」
上記の歴史を踏まえると、「草餅」としてメジャーな物には
- ハハコグサを使った「母子餅」
- よもぎを使った「よもぎ餅」
という2種類があったということがわかりますね。
今でこそ「草餅」といえば当然のように「よもぎ餅」のことを指しますが、母子餅がよもぎ餅に変化していった頃はきちんと区別できる呼び名を使わなければならなかったのかもしれません。
まとめ
後になってみてみると、草餅の草としては「ハハコグサ」よりも「よもぎ」の方が発色が良く、優れているかもしれません。
ここからは想像でしかないのですが、試しによもぎをお餅に練りこんだら思ったよりもいい感じだったから、それを草餅として流行らせるために、強引に母子餅を排除したかった人がいたのかもしれませんね…
もちろん見た目だけではなくて、よもぎにはすごい力が沢山あります!
月島の和菓子カフェ『山の金時堂』でも、春は草餅を出す機会が増えますので、その際は是非お越し下さい!月島土産にもどうぞ!!
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