コラム

和菓子は体に良い?白い砂糖は体に悪い?

白砂糖
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月島で和菓子カフェをやっている山の金時堂です!

和菓子って言うと、洋菓子に比べて「体に優しいお菓子」っていうイメージをお持ちの方が多いのではないかと思います。

でもマクロビオティックで避けられがちなグラニュー糖や白砂糖などの白い砂糖を使うことは多いし、砂糖の比率も洋菓子に比べて大きいこともよくあります。

しかし結論から申し上げると、

和菓子は体に良い

と思っています。だから和菓子を毛嫌いしないで… ということなのですが、今回はその理由を紹介します。

砂糖の量は多い

よく和菓子は「やさしい甘み」と言われているのを耳にします。

砂糖の塊じゃないか!!

たしかに味はやさしいんです。ただ和菓子の主役になりがちな「あんこ」についてみてみると、小豆の量よりも砂糖の方が多いのです(山の金時堂で和菓子を作っている者に聞いたら、レシピはヒミツとのこと… ぐぬぬ)

本とかでは小豆200gに対して、砂糖250gなど結構砂糖が攻めています。

砂糖の塊じゃないか!!

とツッコミたくなる気持ち、わかります。私もツッコミました。

白い砂糖も欠かせない

マクロビオティックなどの自然派の食事をなさっていると、「白砂糖」「グラニュー糖」と聞いただけで嫌ってしまう方もいらっしゃると思います。

たしかに白砂糖やグラニュー糖などの精製された食材は「体に悪い」と言われておりますね。

では「和菓子でも白い砂糖を使わずに作ればいいのではないか?」という対処法で和菓子を作ってみましょう…

残念ながらそれでは上手くいかないことが多いのです。

まず風味が当然変わってきます。いままでと同じ割合で砂糖の種類を変えただけなのに、全然おいしくない… ということが多いです。

さらに保水力が違ってくるので、食感や形も遜色なくというのは難しくなってきます。

とはいえ、そこは研究して白い砂糖以外でもおいしい和菓子を作る方法を見出すことはできます。山の金時堂でもなるべく白い砂糖は使わずに和菓子を作ってみる方向へとシフトしています。

…しかし絶対に白い砂糖を使わないと上手くいかないものもあるんです。

例えば「練り切り」。練り切りといえば上等な和菓子として、様々な人に好まれています。

練り切りの魅力はなんといっても、「見た目」なんです。和菓子は食べて美味しいのはもちろんですが、見ても美味しくなければいけないのです(とウチの者が申しております)。

その練りきりの原料として砂糖の代わりにきび砂糖を使ってみると、見た目の印象がガラっと変わってしまい、ピンぼけしてしまうんです。

元々地味な見た目が良い和菓子ならば白い砂糖を使わずに済むのですが、鮮やかな色合いが美しい和菓子にはどうしても白い砂糖は欠かせません。

和菓子は体に悪いの?

では白砂糖やグラニュー糖などの白い砂糖をふんだんに使っている和菓子は体に悪いのでしょうか?

白砂糖は体に悪い?

白い砂糖は体に悪い…

これはよく言われることですが、これの理由についてはあまり語られることがないと思います。

  • 化学物質で白くしているから?
  • 元々茶色いものを無理矢理白くしたんだから、体に悪いに決まってる!

これらの認識は別に間違っているとは思いませんが、私の考えは違います。

危険な化学物質??

白い砂糖の工程

白い砂糖は

  1. サトウキビを収穫する。
  2. サトウキビから汁を絞る。
  3. 煮詰めて結晶を作る。
  4. 遠心分離機で結晶(粗糖)を取りだす。
  5. 粗糖を糖蜜で洗浄し、お湯に溶かす。
  6. 石灰乳をいれ、炭酸ガスを吹き込む。これにより生成する炭酸カルシウムに不純物を取り込み、沈殿させる。
  7. 沈殿した不純物をろ過する。
  8. 活性炭などのフィルターでさらにろ過し、細かな不純物を取り除く。
  9. 煮詰めて結晶を作る。
  10. 遠心分離機にかけて結晶を取り出す。

という工程を経て精製されます。グラニュー糖も白砂糖もここまでは同じです。

おそらく自然派の人が気になっているのは、6。ここがいかにもケミカルって感じですよねー。

水酸化カルシウム

これって小学校の理科の実験でも見たことある現象なんです。「石灰水に二酸化炭素を吹きかけると白く濁る。この濁りが炭酸カルシウムである…」なんとなくしか覚えてないのですが、こんな感じだったと思います。

石灰乳に含まれている石灰は「水酸化カルシウム」。こんにゃくなどによく含まれる原料ですが、実は毒性があります。昔、小学校の校庭に線を引く粉の石灰は水酸化カルシウムであったことも多かったのですが、目に入ると失明の恐れがあることから炭酸カルシウムに取り替えられました。

あ、やっぱり白い砂糖は毒なのね。

ちょっとお待ち下さい。こんにゃくを喉に詰まらせて大事になることはあっても、こんにゃくの食べすぎで中毒になって大事になってしまう… ということはないですよね。

アルカリ性の水酸化カルシウムは過剰に摂取しなければ、胃液の酸性と中和されて、無毒になるんです。

炭酸カルシウムと黒糖

それに砂糖に関して言えば、ほとんどが炭酸カルシウムに化学変化しています。炭酸カルシウムは卵の殻やサンゴの骨の主成分。これに毒性は皆無です。

…さらにびっくり事実として。

白い砂糖は6の工程のあと、活性炭などのフィルターで炭酸カルシウムを始めとする不純物を取り除きます。一方で黒糖は6の工程のあと、それを煮詰めて終わりです。

「黒糖はミネラル・カルシウム豊富で健康に良い」という言葉の「カルシウム」は、ここで生成された炭酸カルシウムのことだったんですね。

化学物質を絶対に避けたいという気持ちで黒糖を選んでしまっているならば、その選択には残念ながら合理性はないようにも思えます。

でもやっぱり白砂糖より黒糖

とはいえ、やっぱり黒糖の方が白い砂糖よりも健康には良いというのが、私の考えです。

白い砂糖は味や見た目を良くするために、不要と思われるものを全て排除してできたもの。仮にそのままなら体に有益な物質がついていたとしても、取り除かれてしまうのです。

ここから先は明確に根拠を示せるわけではないのですが…

生き物は物を食べると体の中で燃やして生きていきます(カロリーとかありますよね)。ただ、中には食べても完全に燃やせない物もあり、それが溜まっていってしまう。それが汚れとなって、体や心に悪さをする。

そして砂糖って本来、「完全に燃やせない物」なのです。でも周りに豊富な燃料があれば、その火力で無理矢理燃やし尽くすことができます。最新の焼却炉なら火力が強いからプラスチックでも無害に完全に燃やせるみたいなイメージでしょうか。

その豊富な燃料が黒糖を始めとするヘルシー系砂糖にはついていて、白砂糖やグラニュー糖・三温糖になる過程でなくなってしまっている。

だから白砂糖を食べると燃えカスが体に残ってしまうので、体に悪いかも… ってことなのではないでしょうか。

※黒糖だと風味や色が強く出すぎてしまうので、山の金時堂ではきび砂糖を使用することが多いです。

和菓子は体に悪くない

長々と書いてしまいましたが、私の結論としては「白い砂糖はやっぱり体に良くない」ということでした。

白砂糖でも大丈夫

しかし和菓子はたとえ白い砂糖を使っていても、体に悪くないと思うのです。

というのも、無精製である小豆には精製された砂糖を燃やすだけの火力が備わっているからです。

この点、洋菓子の場合、小麦粉は精製されたものですので、その火力はないと考えています。

さらに小豆に砂糖を入れて熱すると、メラノイジンというアンチエイジングに有効な抗酸化物質が生成されます。

それらを踏まえると白砂糖やグラニュー糖を使っていても、体は十分に健やかでいられそうです。

きらめき・ときめきを大事に

「でも、やっぱり燃えにくい白砂糖よりも、燃えやすい黒糖を使ったほうがいい。敢えてリスクを取りに行く必要はない」と思う方もいらっしゃるでしょう。

それも一理あります。食べるときに心が前向きになれないならば、避けたほうがいいです。

和菓子は体だけでなく、心のことも考えて作られています。

見た目が綺麗でときめく。これって若さであり、生命力ですよね。

それをもたらすにはやっぱり白い砂糖を使わなければいけないことも多々あります。いざ食べるときになったら深く考えず、自分の感性を楽しむのがいいと思います。

それも健康なんです。

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