コラム

練り切りの「つなぎ」によって上物・並物が変わる?

和菓子「桜」
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どうも月島で和菓子カフェをやっている山の金時堂です!

練り切り(ねりきり)といえば、最もメジャーな和菓子かもしれませんね!

あの美しい見た目に、口に溶けるような食感… いいですよねー。

今回は「練り切り」の生地について。

練り切り餡

練り切りといえば、最もメジャーな和菓子かもしれません。

和菓子「桜」

…メジャーすぎて、練り切りではない和菓子も練り切りと勘違いされてることもしばしばあります。和菓子には練り切り以外にも、外郎、求肥、雪平、こなし、浮島などなど色々ございます。

あくまで生地に「練り切り餡(ねりきりあん)」が使われているものが「練り切り」なんですね。

さて練り切りに使われる練り切り餡。

その主成分は「白餡(しろあん)」です。白い餡子に着色をするから、あれほど色鮮やかな練り切りができるんですねー。

上物と並物

ただ白餡だけではベタベタ手にくっついてきます。

だからといって乾燥させてみるとパサパサでまとまらず、細工には向いていません。

そこで白餡につなぎを加えて、細工しやすい様に調整します。

それで出来上がったのが練り切り餡なのですが…

実は練り切り餡に何を使うのかで、高級品か並品か変わってきます!

上生菓子である練り切りの中にも上物・並物があるんです。

上物

高級品となる練り切りの生地には以下のような材料が使われています。

  • 白小豆
  • 白ササゲ
  • エビイモ
  • ヤマトイモ
  • 百合根

どれも決して安くはない材料です。

私共「山の金時堂」でもたまにつなぎにヤマトイモを使った「薯蕷煉切(じょうよねりきり)」を作ったりしますが、風味が飛ぶのがとても早いため、店頭用としてはかなり扱いにくいです。

薯蕷煉切とチョコレート羊羹
銀杏・黒糖羹(9月30日の和菓子)
↑画像左が山の金時堂で出した薯蕷煉切です!

また葛を使った練り切りは美味しいのですが、劣化が物凄い早いです。

高級品が並んでいるデパートならば買うことができるのでは?と思っていましたが、いざ訪れてみると上物の練り切りは中々見かけません。

それは原材料が高価だからという理由だけではなく、扱いづらく大量に並べるのに向いていないからなのかもしれません。

お茶席や予約用の和菓子として見かけることはよくあります。

並物

一方でつなぎに「求肥(ぎゅうひ)」が使われているものは並物の練り切りとされています。

求肥でも十分美味しく、美しい練り切りを作ることができます。

世のお店に並ぶ練り切りはこの求肥の練り切りが大半ではないでしょうか。

つなぎは少ないほうが良い?

原材料を減らす

練り切り餡のつなぎについて色々見てきましたが、つなぎを加える根本的な理由は

「細工をしやすくするため」

です。

細工しやすくなるということは、どんどん固めになっていくということ。

確かにつなぎが多ければ多いほど細工がしやすくなる… わけなのですが、つなぎが少ないほうが口溶けがよく美味しいと思います。

手の熱は敵?

手の熱

練り切りを細工する際には当然手で触らなければなりません。

しかしこの手で触るというのが、厄介なんです。

練り切り餡は触れば触るほど、手の熱でベタベタしてきます。

美しく仕上げるためには、できるだけ素早く細工をする技術が必要です。

夏などは水で手の温度を下げて細工をしたりします。

練り切りの生地のまとめ

今回は練り切りの生地「練り切り餡」について書いてみました。

上生菓子である練り切りにも、生地に何を用いるかによって上物・並物の違いがあるんですねー!

そして練り切りの細工には技術が必要… と。

月島の和菓子カフェ『山の金時堂』でも練り切りを提供することがあります。

主原料の白餡についても自家製の白餡を使っていますので、味にも自信があります!是非イートイン・お土産にどうぞ!

桜・わらび餅(3月10日の和菓子・ランチ)