コラム

土用餅(どようもち)のすすめ!そもそも土用って何?

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月島で和菓子カフェをやっている山の金時堂です!

土用餅(どようもち)、なんだか夏によく見かける和菓子ですよね。

美味しいことは美味しいのですが、「これ、ただのあんころ餅なんじゃ…」

そう思われた方、鋭いです。その通りなんですが、実は季節によって土用餅になるんですねー。

土用について

土用といえば、夏の「土用の丑の日に鰻を食べる!」ことですよねー。

土用のうなぎ

ただ土用は夏だけではなく、各四季に存在します。

昔の人は1年を24つに分け(二十四節気)、その24つの季節を四季にグループ分けしました。四季にはそれぞれ「木火土金水 – 五行思想」に基づく属性、

  1. 春→木
  2. 夏→火
  3. 秋→金
  4. 冬→水

があるとされています。

春夏秋冬

 

しかしながら、例えば「冬から春」になるとすると属性としては「水から木」になるわけですが、気温などの体感としてはそんなにいきなり変わりませんよね。

いわゆる「季節の変わり目」という時期があるはずなんです。

そこで二十四節気では対応できない季節「雑節(ざっせつ)」として、五行思想の内の変化の属性を有する「土」をそれぞれの季節の変わり目に割り当て、その期間を土用としたのです。

ちなみにその期間はそれぞれの四季につき18日間。それが4つとなると… 1年で72日間!

1年365日を5等分すると73日なので、実は四季と同じくらいインパクトの強い季節なんですねー!

土用の悪影響

土用という言葉を知らない人でも絶対に言ったことや聞いたことのある言葉として

「季節の変わり目だから気をつけて…」

季節の変わり目には注意しなければいけないのです。それは体調面だけのことではなくて…

不安定な季節

季節から一旦離れて、変わり目について考えてみましょう。

補助輪付き自転車に乗る子供

三輪車に乗っていた子供が自転車に挑戦する。転びますよね。

慣れるまでは不安定。慣れる為に必要不可欠な不安定。

そう土用は不安定な季節なんです。驚くほど全ての物が不安定になります。

体調はもちろん、気持ちも不安定になりトラブルが多くなります。またやらない方がいいこともやっちゃいたくなります。

土の神様が荒ぶる

これはいままでよりもスピリチュアル的な話になってしまうのですが、

土用になると土の気が高まると言われております。もっと踏み込むと土の神様が荒ぶるとも…

神様

この考え方を強く支持する人たちは

  • 土用の土仕事(穴を掘ったりすること)
  • 土用の殺生
  • 土用の建築

などを忌避します。土に触ることすら避けるという知り合いもいます。

皆様にそこまでした方がいいとは決して申し上げることはできません。

しかしながら、不安定な季節であることも踏まえると、せめて建築工事などの生活を変えるような大きな物事の決断や実行は避けたほうがいいかもしれません。

土用餅を喰らえ!

土用についてネガティブなことばかり書いてしまいましたが、今の私の感覚では土用には良い事よりも悪い事の方が多いです。

本当に厄介な季節。

しかし次の季節に自分をアップデートするためには必要な季節なんです。

例えば「春から夏」に変わったとき、自分の体が春のままだったら夏の暑さには耐えられませんよね。

昔の人は土用に夏に向けての準備をしていたんです。それに用いられた物の1つが「土用餅」

土用入りの日に土用餅を食べると、夏の暑さに負けない体になると信じられていました。

土用餅の原型

昔の土用餅は今のあんころ餅ではなかったそうです。

土用餅のルーツは平安時代の宮中の公家の世界にあります。

公家の間では「ガガイモの葉」を煮出した汁で練ったお餅をみそ汁に入れ、土用入りの日に食べると暑気あたりしないとされていました。

ガガイモはつる性多年草で、道端によく生えている草です。切ると乳液が出てくる雑草です。

まさしく土用餅っぽいのですが、みそ汁に入れたお餅だったんですね。

あんころ餅になった頃

そんな土用餅があんころ餅になったのは、江戸時代の中期だといわれております。

どういうわけか土用の入りの日にお餅を餡子で包んだシンプルな和菓子を食べることで、夏の無病息災を祈るという風習に変わったんですね。

土用餅まとめ

今回は土用と土用餅について書いてみました。

忘れがちな季節「土用」ではありますが、意識するだけでも次の季節への準備ができ、比較的安定した生活が送れると思います。

山の金時堂でも土用餅を出すことがございますので、是非お立ち寄り下さい!お土産も承っております!